十二指腸癌は胃癌・大腸癌に比し、極めてまれでしたが、高齢化社会の進展とともに、最近、増加してきています(世界保健機関WHOの報告では70歳代・男性に最も多い)。X線検査の時代、大多数の十二指腸癌は進行した状態で発見され、長期生存は難しい疾患でした(5年生存率<30%)。しかし、内視鏡検査の普及により、前がん状態である“腺腫”または“早期癌”の段階で発見される患者さんの数は増えてきています。
当センター所属の内視鏡医が考案した独自の方法で、鎮静薬投与で苦痛なく十二指腸最深部(第4部・上行脚)まで、短時間にくまなく観察する内視鏡検査を実践しており、小さな病変でも見逃すことなく、数多くの腺腫・早期癌を内視鏡的に診断しています。通常の内視鏡検査から細胞核・細胞質など顕微鏡レベルまで緻密な観察が可能な最新の内視鏡検査(エンドサイトスコピー)も行っています(国内外を問わず、現在、この検査が行える施設は数か所もありません)。
治療に関しては、国内屈指の経験を持つ内視鏡医と外科医が緊密な連携のもと、内視鏡を用いた治療を中心に、患者さん一人一人の状態にマッチした低侵襲治療(最も体に負担のない治療)を実践しております。
治療・ご病状のご相談は、専門外来(月曜日:出口義雄医師外来、火曜日:井上晴洋教授外来/池田晴夫医師外来)にてお気軽にご相談下さい。ご予約につきましては、病院予約センター(03-6204-6489)までご連絡下さい。
十二指腸腫瘍(高度異型腺腫の一例)
食道や胃の治療と同様に腫瘍に対する標準的内視鏡治療(ポリペクトミー、EMRやESD)から当院独自の外科手術と内視鏡のコラボレーションした治療法も積極的に行っています。
内視鏡と腹腔鏡のコラボレーション
早期十二指腸乳頭部癌に対する内視鏡併用腹腔鏡補助下乳頭切除術
内視鏡(胃カメラ)治療と腹腔鏡手術を併用(コラボレーション)することで、最小限の傷、体への負担で確実な治療が行えた十二指腸癌の1例です。
(第97回日本消化器内視鏡学会総会でご報告させていただきました)
小腸は、胃と大腸をつないでいる、長さが4〜5mもある管状の臓器です。1950年代に胃カメラが登場し、やがて大腸カメラの開発も続きましたが、その間にある小腸の深部までは届かないため観察することができず、暗黒の臓器とされていました。2000年代に入り、カプセル内視鏡、バルーン内視鏡が登場し、小腸も観察できるようになりました。
カプセル内視鏡検査は上部消化管検査・下部消化管検査を行っても原因不明の消化管出血(黒色便、血便、原因不明の貧血)と原因不明の腹痛、下痢などで小腸疾患が疑われる場合など、小腸疾患全般の診断はもとより、クローン病の粘膜の状態のモニタリングにも利用されています。
カプセルは大きなビタミン剤程度の大きさで(長さ26㎜・直径12㎜)、先端にカメラが搭載されています。口から飲み込み、通過する消化管を撮影することができる内視鏡で、患者さんの身体に装置した受信機に約5万枚の画像を送ります。本番の前に腸の閉塞がないかパテンシーカプセル(消化管開通性評価用カプセル)を飲んで確認します。
★見つかる病気:小腸腫瘍、ポリープ、潰瘍、クローン病など
当センターでは最新のPillCam™ SB3 カプセル内視鏡システムを導入しており、カプセル内視鏡学会「カプセル内視鏡認定医」が3名在籍しています。小腸疾患が疑われる患者様がおられましたら、消化器センター外来までご相談ください。
バルーン内視鏡は、その名の通り、風船型の固定器具を用いる内視鏡です。先端に膨らんだり縮んだりする固定器具(バルーン)がついたカバー(シース)を内視鏡と一緒に消化管へ挿入し、尺取り虫のように少しずつ消化管を短縮させながら奥へ奥へと内視鏡を進めていきます。カプセル内視鏡検査で発見した異常を直接内視鏡で観察することで、より詳しい情報を得たり、組織採取を行ったり、病変を治療したりすることができます。
原因不明の貧血の原因を調べるため、小腸内視鏡検査を行い、小腸に潰瘍や腫瘍が発見され、治療につながることがあります。
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昭和大学
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